2013.6.25-
弘前大学教育学部 附属学校園の熱中症対策
気温・湿度・熱中症指数(WBGT)・CO2モニタリングシステム
[運用中]
2013.6.25~附属中学校
2013.7.9~附属小学校
2013.7.10~附属幼稚園
2013.8.27~附属特別支援学校
「熱中症チェックシート」 「かぜねっと」 「成長の記録」 「インターネットエアロバイク」もご利用ください。
弘前大学教育学部小山 智史
東北コンピュータ専門学校佐藤 ゆかり
弘前大学教育学部附属中学校森 菜穂子
(イラスト 熊谷和香子)

1. ネットワーク対応のモニタリングシステム

1.1 概要

 熱中症対策の指標として気温や湿度や熱中症指数(WBGT)が用いられます。学校では体育館などに温湿度計が設置され、また、保健室にはハンディタイプの温湿度計や熱中症指数計が用意されています。しかしながら、校内の様子を掌握するには、校内の要所をしばしば巡回しなければならず、それは実際問題としてなかなか困難です。

 そこで、校内数箇所に設置した温湿度センサ(Sensirion SHT11[1])で計測した気温と相対湿度をLAN経由でサーバに記録し、保健室や職員室のパソコンで気温、相対湿度、WBGT値(近似値)の変化を観測できるようにしたシステムを開発しました。以下はパソコン画面の表示例です。測定精度はセンサの仕様によれば、温度が0~50℃で±1℃、湿度が20~80%で±3%です。

 WBGTの推定値は気温と相対湿度から日本生気象学会の指針[2][3]の図1に基づいて算出し、[2][3][4]に基づくコメントを付しました。同指針[3]には、「...本指針におけるWBGTは気温と湿度から推定されるものである。室内で測定したWBGTとはよく一致するが、屋外においては...低温域では実測値よりも大きく、高温域では実測値よりも小さくなることが多いので注意が必要である。」とあります。従って、グランドのWBGT値の解釈には注意が必要です。WBGT値の算出方法に関してはさまざまな議論があり[5][6][7][8]、今後の動向が注目されます。

1.2 システムの概要

 ブラウザの表示は、Windows7/WindowsXPで、IE8, IE9, Firefox22.0, Chrome28.0で確認しています。

1.3 モニタリングセンサ


センサ(有線LAN接続)

ワイヤレスセンサ(電池駆動)

ワイヤレス受信機(LANアダプタ)


附属幼稚園ホールのセンサ


附属幼稚園保育室のセンサ


附属幼稚園園庭の
ワイヤレスセンサ(CO-RS1に収納, 電池)


ワイヤレス受信機(LANアダプタ)


附属小学校体育館のセンサ
(100均ガード付)


附属小学校3階教室のセンサ


附属小学校2階教室のセンサ


附属小学校グランドのセンサ
(CO-RS1に収納, 附中グランド共通)


附属中学校体育館のセンサ
(100均ガード付)


附属中学校1A教室のセンサ


附属中学校3A教室のセンサ


附属中学校3E教室のセンサ


附属中学校武道館の
ワイヤレスセンサ


附属特別支援学校第一体育館
のセンサ


附属特別支援学校第二体育館
のセンサ


附属特別支援学校中二教室
のセンサ


附属特別支援学校教生指導室
のセンサ

2. ローカルセンサを用いたモニタリングシステム

2.1 システムの構成

 パソコンにUSB接続したセンサで測定するようにしたシステムも作ってみました。WebIOの技術を利用しており、次のような特徴があります。


(a) インターネット非接続環境での利用

(b) インターネット接続環境での利用

(c) ブレッドボードで試作した温湿度センサ

(d) 温湿度センサとCO2センサをケースに入れた製作例

2.2 温度・湿度・CO2濃度の数値表示

 USB接続したセンサで温度・湿度・CO2濃度を測定し、1秒毎に表示を更新します。

thermometer.html: <!DOCTYPE html><html lang="ja"><head> <meta charset="utf-8"> <title>温湿度計</title> <script src=webio.js></script> </head><body> <!-- ここからWebページの本体とプログラム --> <div id=TEMP style='font-size:80pt'></div> <div id=HUMI style='font-size:80pt'></div> <div id=CO2 style='font-size:70pt'></div> <script> function setup(){ // --- はじめに自動実行 --- pinMode(TEMP,ANALOG_INPUT); // TEMPをアナログ入力に pinMode(HUMI,ANALOG_INPUT); // HUMIをアナログ入力に pinMode(CO2,ANALOG_INPUT); // CO2をアナログ入力に setInterval("measure()",1000); } function measure(){ $("TEMP").innerHTML=analogRead(TEMP)+"<small>℃</small>"; $("HUMI").innerHTML=analogRead(HUMI)+"<small>%RH</small>"; $("CO2").innerHTML=analogRead(CO2)+"<small>ppm</small>"; } </script> <!-- ここまで --> </body></html>

2.3 温度・湿度・CO2濃度データのグラフ表示とデータの保存

 USB接続したセンサで温度・湿度・CO2濃度を測定し、正1分または正10分にデータをブラウザのWebStorageに蓄積するとともにグラフ表示を更新します。Webサーバを利用している場合はデータがサーバに送られ、他のパソコンからもデータを閲覧できます。

 なお、パソコンの時刻が測定時刻になるので、パソコンのNTP時刻同期を正しく設定しておくことが重要です。


3. 室内マルチポイントセンサ



4. ポータブル熱中症指数計


(技術情報)

(参考資料)

[1] SHT11データシート, sensirion, 2011.
[2] 日常生活における熱中症予防指針 Ver.1-2, 日本生気象学会, 2008, 2012.
[3] 日常生活における熱中症予防指針 Ver.3, 日本生気象学会, 2013.
[4] 熱中症予防ガイドブック, p.16, 日本体育協会.
[5] 堀江祐圭, 藤原弘章, 札幌管区気象台における黒球温度の観測報告およびWBGT値の各種推定式の特性について.
[6] ヒートアイランド現象に対する適応策及び震災後におけるヒートアイランド対策検討調査業務報告書, 環境情報科学センター, 2013.
1.3 適応策の評価指標の検討
参考資料1-7 適応策の温熱指標に関するヒアリング結果
参考資料1-10 温熱指標に関する留意事項の整理
[7] G.M.Budd, Web-bulb globe temperature(WBGT) -- its history and its limitations, JSMS, no.11, pp.20-32, 2008.
[8] B.Lemke and T.Kjellstorm, Calculating Workplace WBGT from Meteorological Data: A Tool for Climate Change Assessment, Industrial Health, no.50, pp.267-278, 2012.
[9] 青森県の暑さ指数予報, NHK.
[10] 小山智史, 佐藤ゆかり, 森菜穂子, リアルタイム熱中症指数(WBGT)モニタリングシステムの開発, 第 31回日本産業技術教育学会東北支部大会講演論文集, pp.15-16, 2013.
[11] 今井直子, 前田洋子, 森菜穂子, 淋代香織, 重症度判断に役立つ「熱中症チェックシート」とどこでもチェックできる「モニタリングシステム」, 健, Vol.43, No.4, pp.23-26, 2014.
[12] 森菜穂子, 佐藤ゆかり, 小山智史, ポータブルサーバを用いた教室内空気環境のマルチポイント同期計測システムの開発, 教育情報システム学会第42回全国大会, G3-4, 2017.

この取り組みの一部は、2013年度弘前大学教育学部附属学校共同研究奨励費および2013年度弘前大学総合情報処理センター研究開発費の補助を受けて行いました。


koyama@hirosaki-u.ac.jp