植物には、生理的機能の調節をする植物ホルモンが存在します。植物ホルモンは植物体の形成や成長の他に、 休眠や発芽に対して重要な役割を担っています1)。例えばアブシジン酸(ABA) (1)、インドール酢酸(IAA)(2)、は、休眠および発芽、伸長抑制物質の一つです。また、ジベレリン(GA1)(3) は発芽・伸長促進物質です。また、エチレンは、発芽・伸長抑制と促進の両方を兼ね備えた物質です。(図1)
図1 植物の休眠・発芽・伸長に関わる植物ホルモン
これらの物質は、イネ科、マメ科など高等植物全般の種子、穂、葉、茎、などに存在し、 ジベレリンは微生物からも生産されています1)。 植物の発芽に関わる生理活性物質としてイネやコムギの穂発芽抑制物質であるモミラクトンA(5)、B(6)2) やテトラヒドロアクチニジオライド(TAL)(7)、ジハイドロアクチニジオライド(DAL)(8)、が知られています(図2)3)。
図2 小麦の穂から単離された休眠物質
話は変わりまして・・・
青森県は一般にリンゴが知られていますが、これ以外にもニンニク・なたね・長芋が全国1位の出荷量を誇ります 4)。
特にニンニクは全国80%のシェアを占めて、田子町で生産されている福地ホワイト六片種は高品位の品種として 知られています5)。
一方、ニンニクは一年を通して全国へ出荷していますが、ニンニクの萌芽抑制剤に発ガン性があることがわかり、一昨年から生産が中止になったために県内のニンニク生産者にとって萌芽抑制剤の替わりとなる発芽抑制物質が 早急に求められました。
そこで、ニンニクからニンニク自身の発芽抑制物質となる物質を探索していくことにしました。
その結果、発芽抑制物質の活性試験の対象物をシロイヌナズナで行ない、高活性(25 ppm)な物質を見い出しました。
現在ニンニクに対する活性試験を検討しています。
参考文献
1)植物ホルモンハンドブック(上) 高橋信孝・増田芳雄 共編 培風館 p.1, p.13〜14, 1994.
2)T.kato, C.Kabuto, N.Sasaki, M.Tsunagawa, H.Aizawa, K.Fuhita, Y.Kato, Y.Kitahara and N.Takahashi, Tetrahedron Lett.,3861.,1973.
3)T.Kato, N.Saito, K.Kashimura, M.Shinohara, T.Kurahashi, and K.Taniguchi, J.Agricultural and Food chem. ,50, (22), 6307-6312, 2002
4)青森県農林水産部 : 「農林水産業の動向」, p.102, 平成13年 6月
5)青森県田子町HP : 「田子町」 http://www.net.pref.aomori.jp/takko/c01main.htm