前任は、三内丸山や亀ヶ岡遺跡の発掘で著名な村越潔氏であり、氏は考古学研究に没頭される中で、青森県の社会科教育に尽力された。さらに、その前任には法社会学専攻の石崎宜男氏が、戦後まもなく、青森県のコアカリキュラムを主導され、当時の附属学校の先生方と『米とりんごの社会科』を世に問うた。
県内にはおふた方をはじめとして、各研究室の教官の薫陶を受けられた先生方が活躍されている。そうした先生方と、少しづつつながりを持つことによって、これまでの成果を受け継ぎ発展させなくてはならないと考えている。
現在,研究室は祇園全禄(教授),猪瀬武則(教授)から構成されている。
祇園全禄の研究は,戦前期の福岡県地理教育実践史資料を発掘・収集し,社会認識形成(説明的知識・分析・総合の手法,認識主体者の能動性重視)の視点から整理している。また我が国の社会科教育前史としての意味づけの作業を継続しており,地域教材,授業研究とともに津軽地方の戦前・戦後の地理教育実践史の資料収集をしている。
猪瀬は、高校や中学における公民教育、わけても経済教育を中心とした実践研究を行ってきた。 その際、基軸となってきたのは、意思決定能力の育成である。米国や国内の先行研究に学びながら、それを具体化するための方策を検討してきた。 ディベート、ロールプレイング、シミュレーションと方法的な教材の原理の探求は、いずれも、意思決定能力育成のための方途の探求の過程でもある。 その間、同時に経済概念学習を推進する米国の経済教育の実践的日本化も図ってきた。また、環境教育を経済教育の観点から再編成するために米国の教材の原理や国内での実践的検討も試みてきた。しかし、近年猪瀬は、これまでの意思決定能力育成研究に大きな転換を余儀なくされている。 概念教授や外在的知識の習得、近代合理主義的な知の定式化としての意思決定過程を質的に転換する必要性はないのか。主体的知識を形成し、合意形成を主体とした意思決定を図ることはできないか。これらの問いに答えようと附属小の太田秀文教諭(現弘前市立東目屋小),附属小の相馬昌久教諭(現弘前市立朝陽小)と共同で試みた。 一方、米国の経済教育カリキュラムや教材構成原理のこれまでと現状とを全面的に再検討し、博士論文(『経済教育改革研究ー経済的市民性育成の論理と展開』広島大学)に結実させた。。