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| 今回の筑波大学の巡検は,スイス東部のサンモリッツ近郊にあるサメダンに現地集合・現地解散です.私は関空発のトルコ航空でスイスへ向かいました.イスタンブール経由であるため,チューリッヒへ向かう際にはオーストリア周辺の上空を通過します.写真はインスブルック付近だと思うのですが・・・・.手前の細長いU字谷はイン川の谷だと思われます.ギュンツ・ミンデル・リス・ビュルム氷期(少しでも地形を勉強した人なら聞いたことがあるはずです.)といった氷期が命名された模式地に続いていると考えると,私はここから飛び降りたくなりました. |
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| しばらく当研究室HPの表紙を飾ってくれた写真です.サンモリッツ周辺のコルバッチ氷河を観察しに行くためにのったロープウェイより撮影.写真中央部にU字谷(懸谷氷河によるもの.もちろん氷河湖が存在する大きな谷もU字谷です)がみられます.これがV字谷に切られ,そこから供給された(通過した)堆積物によって,氷河湖にファンデルタが形成されています.シンプルだけど,氷期−間氷期サイクルの気候変化に伴ったものすごいスケールの地形がみられます.こんな地形ばかりみせられて,私のテンションは全開でした.おかげでスイスで4kgも痩せました(もう戻りましたが・・・). |
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| コルバッチ山頂展望台において解説をする筑波大学松岡先生.松岡先生の研究グループは,この地域において長期間にわたり周氷河地形の研究を行い,数多くの論文を書かれています.私が今回の巡検に同行することを快諾してくださいました.松岡先生には北上低地帯の周氷河インボリューションに関して調査をご一緒して以来,たくさんお世話になっています.それにしてもこんなところで講義?できるなんて最高です. |
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| 今回の巡検において対象となっている地形の一つは,岩石氷河です.写真はサメダン東部の懸谷の中に発達するムラーユの岩石氷河.松岡先生の研究グループが詳細な観測を行っています. |
| 岩石氷河の定義はこの通りです.詳しくは松岡先生の地学雑誌(vol..107-1,1998年)の論文をごらんください..写真は,サンモリッツの西方のSuvretta岩石氷河です. 写真では,岩石氷河から沖積錐がでているのがみえますが,この沖積錐の形成は,近年の温暖化(私はいわゆる「地球温暖化」とはいいません)にともなって,岩石氷河内の永久凍土が融けたことが関係していると考えられています. |
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| ムルテール岩石氷河を遠望しながら説明をする筑波大学の池田先生.ムルテール岩石氷河(サンモリッツから7〜8q?南に位置)は世界で最も研究の進んでいる岩石氷河の一つだと説明されていました.松岡先生も池田先生も,現場において実際に観測された(論文となっている)データを示しながら,学生さんにそれから読み取れることを述べさせ,さらにそこから岩石氷河の問題点を考察をさせるという,レベルの高い巡検を実施していました.それに対してきっちりと反応する学生さんたちには驚きでした.なかには「velocityって何?」と質問されて「ベロの都市だと思います」という珍回答もありましたが,ただでは引き下がらない学生さんの根性を感じました. |
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| ムルテール岩石氷河では,チューリッヒ大学のヘーベル先生のグループとお会いしました.ヘーベル先生は岩石氷河の世界で最も有名な研究者の一人です. |
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| 岩石氷河上で巡検を行うチューリッヒ大学グループ.気象観測等を継続して行っています.ヘーベル先生が私たちのグループに対しても解説をしてくれました.「ボーリングはどのくらい費用がかかったのですか?」と私が質問したところ,よくぞ聞いてくれたとばかりに,苦労話をジョークをたっぷり交えて答えていただきました.イタリア人技師に頼んで,永久凍土を攪乱しない状態でサンプリングできるようにしてもらい,数十mの深さのボーリングで数千万円の値段だそうです.崖錘を前にした解説で「もし,この場で落石にあったら,人生最後の数秒間をじっくり(落石の様子を観察しながら)楽しみなさい」といった言葉が印象的でした.ちなみに岩石氷河が発達している場所は,崖錘から離れている場所にあるので(安息角よりも緩勾配な斜面であるので)落石の心配はないと松岡先生. |
| ピッツネイル山頂付近よりサンモリッツスキー場を望む.写真中央部には舌状の岩石氷河がみられますが,2003年に行われたスキーの世界選手権では,ダウンヒル(たぶん?)はその岩石氷河の直上がスタート地点だと思います. |
| ムルテール岩石氷河周辺をU字谷を挟んだ対岸から撮影した写真です.写真中の矢印の部分に亀裂が走っているのがわかるでしょうか?.直線上の凹地ですので,線状凹地ともよばれています. |
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| 上の写真の矢印地点付近です.この付近はU字谷の肩と呼ばれる部分で,これより上方では比較的緩やかな斜面が続いていますが,ここより下方では急崖となっています. |
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| 上の写真のやや上部です.このように新鮮な割れ目が至る所に形成されています.最終氷期にU字谷を埋め尽くしていた氷河は下方もさることながら側方にも強烈な圧力をかけていたと考えられます.氷期が終わり温暖な時期(間氷期)である現在では,氷河の融解によって圧力から解放されたU字谷の谷壁が,崩壊している現象が観察することができます.このような現象も地質条件によって生じやすさに違いがあるそうです. |
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| サメダン西方のPadella山塊において周氷河地形の観察です.周氷河地形は凍結・融解作用の影響を受けて形成される地形です(上記の岩石氷河も周氷河地形の一種です).写真でみえているのは条線土というものです.この地方では,結晶質石灰岩など粗粒な岩屑が形成される場所では岩石氷河ができやすく,頁岩など細粒な岩屑が生産されやすい地質の場所では平滑な斜面となり,このような条線土やソリフラクションローブといった地形が発達します. 松岡先生の研究グループは,ここで気温・地温観測,凍上量,土壌水分の測定等を行いながら,各種の周氷河地形の形成プロセスを明らかにしてきました.この地域の条線土は,秋や春の日周期の凍結融解に伴って生じる動きによって,細粒物質と粗粒物質の篩い分けが生じた結果,条線模様が形成されるとの説明がありました(ったような気がします^^;). |
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| 凍上計?.水平的な移動量を測定するために,礫にペンキを塗っています. |
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| サメダンの背後の森林限界周辺にて撮影.写真右手の牧草地には家畜がつくったcatle terraceがあります.牛は等高線と平行方向にエサを食べるため,このような等高線みたいなテラスをつくります.きれいなU字谷ですね.下の写真は,このU字谷の奥に位置するモルテラッチ氷河です |
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| 正面にみえるのがベルニナ山塊のパリュー山(標高3900m).そこから流下するモルテラッチ氷河です(モルテラッチ氷河支流のPers氷河).新しい(そうな?)雪が覆っている部分が,氷河の涵養域,それより下流が消耗域になります.そう考えると,この氷河も消えゆく氷河なのでしょうね. |
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| モルテラッチ氷河は長さ8q前後です.その写真はその末端付近を上からみたもの.ちなみに,氷河よりも上方にみえる森林や草地が直線上にみえますが,森林より下の部分は小氷期(日本だとおもに江戸時代の寒冷期にあたります)のモレーンです. |
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| モルテラッチ氷河末端から,さらに下流側の写真です.このU字谷の末端にモルテラッチの鉄道駅がありますが,1850年にはそこまで氷河が存在していました.氷河は約150年間で2q前後も後退しています. |
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| 正面にみえるのがモルテラッチ氷河です.写真右側のように,氷河末端がそこに位置していた年代を示す看板があり,氷河後退の様子が詳しくわかります.ここでは学生さん達は,チズゴケの観察や,現在地を地図におとす実習をしていました.GPSの時代ですので,地形図をみない(みることが苦手な)学生さんが増えているのは,全国共通なのかもしれませんね. |
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| モルテラッチ駅前のホテルのテラスにて.モルテラッチの真夏の氷河を観察した後のこのビールは最高でした.これは,エルディンガーというドイツビール(ヴァイツエン)ですが,私がスイスで飲んだビールの中ではこれが気に入り. |
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| 近年の温暖化に伴う氷河の縮小は,山岳地域の景観,農村?景観を観光資源とするスイスにおいては,大きな問題となります.写真のU字谷であるRseg谷の上流部では,小氷期のモレーンが堰き止めてつくった氷河湖が存在します.融氷水が増大し氷河湖が決壊した場合には・・・・. |
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| 高級保養地のポントレジーナの背後の山地斜面です.傾斜40°以上の裸地化した斜面が存在します.標高2600m前後ですから,山岳永久凍土が存在していてもいいのかもしれません.永久凍土が融解した場合には崩壊が多発する可能性も考えられるでしょう. |
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| ポントレジーナ背後の山地では,数種類の雪崩防止柵が設置されていました.土石流あるいは雪崩かは不明ですが,ポントレジーナの町と山脚部と間には導流堤?が建設中でした. |
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| 象徴主義絵画で有名なセガンティーニの小屋.ここで雷が聞こえはじめたので,大急ぎで下山しました. |
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| おまけ.サンモリッツから遠く離れたアイガー氷河. |
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| おまけ2.ユウグフラウヨッホから眺めるアレッチ氷河(ヨーロッパ最長の氷河)源流部 |
| おまけ3.グリンデルワルド近郊にてみた斜面崩壊.斜面のどの部分が崩壊発生位置になっているのか調べたいですね. |
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| ムラーユのケーブルカーの出口です.日本人向け. |
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