2004.9.7[次へ]

生活環境情報を伝達する非インタラクティブな
コミュニケーション端末の試作

弘前大学 小山 智史

背景


  • 高速・大容量の通信基盤も高齢者など情報弱者には無縁か...適切なアプリケーションの欠如

  • 親しい者は頻繁にインタラクティブなコミュニケーションを行っているか...






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高齢者とIT支援





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今回の取り組み



◎ コミュニケーション端末「気になる写真立て」を試作
気温、明るさ、音の有無という3種の生活環境情報を相手装置に送信し、互いに表示

これまでのコミュニケーションシステム
明示的なメッセージ、あるいは人の存在や動きの情報を直接に伝え
「インタラクティブなコミュニケーションをより強化する」ねらい
試作した装置
「相手の環境情報から一方的に相手に思いを馳せる」
コミュニケーションは間接的かつ受動的で、インタラクティブではない






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コミュニケーション端末「気になる写真立て」の概要

(互いに相手側の生活環境情報を端末装置に表示)









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端末装置の動作

  • 相手装置のセンサの情報をLEDに表示
  • インターネット常時接続環境で、2つの端末が直接通信(0.1秒毎に8ビットのデータを送信)
  • 接続が確立していない場合は5分毎に自動接続(通信が中断しても5秒まで表示を保持)








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端末装置の概観

左上窓の上が明るさ表示、下が気温表示、左下窓が音の有無表示
サイズは23cm×20cm×6cm(装置は正味8cm×5cm×3cm)
小型で、時計など身の周りのさまざまなものに実装可能。




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生活環境情報の表示

対象センサ表示方法
気温サーミスタ相手端末の気温に応じてフルカラーLEDの表示色を連続的に変化(0〜30 ℃で白-青-緑-黄-赤 126段階)
明るさCdS相手端末の明るさに応じて白色LEDの明るさを連続的に変化(126段階)
音の有無コンデンサマイクロホン相手端末の音の有無に応じて赤色LEDをゆるやかに明滅(時定数は0.4秒)






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端末の反応と予想される思いの例

端末の反応想起されること
冬の朝6時頃に気温の表示色が赤くなったおばあちゃんは(娘は)起きてストーブを点けたのかな...
食事時に音の表示が明滅した孫たちはおしゃべりしながら食事かな...
夜の10時頃に明るさ表示が暗くなったおじいちゃんは(息子一家は)寝たのかな...
表示を見て「相手に思いを馳せる」。
情報の伝達は双方向だが、思いを馳せるのは一方的。






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伝送される生活環境情報の例









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想定される利用


  • 離れて暮らす家族のコミュニケーション支援...独居高齢者、入院、施設入所、単身赴任、進学など

  • 通信基盤を能動的に活用することが困難な高齢者や障害者の利用

  • 学校間あるいは学校と地域の福祉施設等など、互いに交流のある機関同士の付加的コミュニケーション







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開発時に考慮した点

  1. 「監視」や「データが収集される」ことへの懸念

    • 人の動作や存在という直接的な情報ではなく、気温・明るさ・音の有無という生活環境情報を扱う

    • インターネット上の2点間で直接通信

    • 双方が同じ端末装置を用いて対等の関係 → システムがわかりやすい

  2. インタラクティブなコミュニケーションの煩わしさ(「相手側からの呼び掛けが煩わしい」「相手を煩わせたくはない」)

    • 操作箇所なし...インタラクティブなコミュニケーションとはならず、受け取った情報は一方的に解釈されるのみ
       → 能動的な利用が困難な高齢者や障害者にも広く利用される可能性がある。

    • 表示色や明るさの連続的な変化、ゆるやかな明滅 → 必要以上に装置に関心が向けられないよう






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利用と考察

  • 試験的な利用(大学-家庭、国立療養所-家庭)

  • コミュニケーション端末の意義

      「相手の存在をしばしば意識的に確認すること」(インタラクティブである必要はない)

  • 問題点

    • 温度の日変化に対して表示色の変化が小さい

    • いずれか一方が固定IPでないと接続が困難である

    • ベッドサイドに置く場合、夜は表示が明るすぎる

    • 手頃な低速の常時接続サービスがない




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ポートリダイレクタの構想





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関連研究との比較

相手の情報FamilyPlanterLovelet気になる写真立て
生活環
境情報
温度-(LEDの表示色)(LEDの表示色)
明るさ--(白色LEDの明るさ)
--(LEDの明滅)
存在情報存在(光)(装着が前提)-
動き(光の回転)--
明示的
情報
接触(音)(熱)-




端末における要件(渡邊:「温かいコミュニケーション「つながり感通信」の誕生」,2003)




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まとめと今後の課題


  • 生活環境情報を双方向で伝達するコミュニケーション端末を試作し、動作を確認した。

  • 非インタラクティブなコミュニケーションでも、「相手の存在をしばしば意識的に確認」できる。

  • 操作箇所は無く、「監視」の懸念もないため、従来インターネットの活用ができなかったり利用に抵抗を感じていた層にも、受け入れられるのではないか。また、いずれは、ネットワーク家電の付加機能としても...。

  • 今後、利用事例を通して有効性を検証していきたい。






koyama@cc.hirosaki-u.ac.jp