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将棋ソフトの視覚障害者利用法
2003.8.20-2006.6.22 小山智史(弘前大学), 佐々木秀勝(青森県視覚障害者情報センター)
2005.8.16 起動時に前回の対局を読み込み、対局を続けられるようにしました。これに伴い、「新規対局(N)」の操作を追加しました。また、「待った(M)」の操作も追加しました。
2005.12.12 投了の操作で棋譜ファイルを削除するようにしました。
2006.6.19 東大将棋6Lite1に対応しました。
2009.5.4 キー操作のみで楽しむ東大将棋(亀井慎太郎様より)を記載しました。
キー操作のみで楽しむ「東大将棋3Lite@大会バトル」 (亀井慎太郎様からいただいた情報です)
- メニュー等の操作で「対局」を開始します。なお、起動時に現れる画面は、音声のガイドがありません。ALTキーを押して「閉じる」を選ぶか、TABキーを押してENTERキーで画面が消えますが、うまく消えない場合もあります。その時は、PCトーカーではマウスモードにしてテンキーの「7」を押してください。そうするとALTキーを押し、閉じるが実行できます。
- ↓→↓→...と十数回繰り返すと、ポインタ(画面では赤枠表示)が持ち駒の位置、つまり先手では1九の隣りになります。
- そこから←を1回押すとポインタが盤面の1九(後手では9一)の位置になります。
- 例えば3三の歩を3四に移動する場合は、矢印キーで3三にポインタを移動し、ENTERキーを押し、矢印キーで3三まで駒を移動し、ENTERキーを押します。
- 次の手からは、現在位置からの相対的な移動となります。例えば、7六歩と指し、相手が3四歩と指してきたとします。ここで何かキーを押すと7六の地点が現在位置となり、そこから↓キーを1回、→キーを1回押し、6七の地点に行き、ENTERキーを押して選択し、↑キーを1回押してENTERキーを押すと、6七の歩を6六に移動することができます。現在位置が分からなくなったら、持ち駒の所に移動します。
- 持ち駒を使用するときは、その持ち駒の場所、基準点にあるのが、歩であり、一つ上にあるのが、桂馬その横が香車、その桂馬の上にあるのが、金、その横が、銀、その金の上にあるのが飛車、その横にあるのが角です。打ちたい駒の所に行き、ENTERキーまたはスペースキーで選択して、逆の動きをして、また基準点に戻り、通常の指し手の感覚で打ちたい場所に移動して、ENTERキーまたはスペースキーを押します。
- 相手に駒を取られたときは、持ち駒の場所の基準点に戻り、指してください。指し手や持ち駒や棋譜が分からなくなったときは、「棋譜に名前を付けて保存」で保存し、そのファイルをMy-Editやメモ帳で開けば、棋譜情報を得ることができます。盤面の駒の配置、持ち駒を確認したいときは、「局面を保存」で保存し、そのファイルをMy-Editやメモ帳で開けば確認できます。
- 普段はPCトーカーを使用していますが、Windows9XならOutSpokenを、WindowsXP以降ならJAWSを並行して使用すると、棋譜ウィンドウを読み上げることが出来ます。棋譜読み上げの声を聞き損なっても、再度確認することができます。ただ、持ち駒を使用したときの「打つ」と言わないので、それを知ることができません。棋譜読み上げに於いても同様です。
- 棋譜ファイルを保存し、後日その続きを指す場合は、「ファイルを開く」からファイルを取り込み、「棋譜移動」のメニューに入り、最後まで棋譜を移動した後、詳細設定の「開始局面」を「現在の局面」とし、「棋譜消去」のチェックを外します。そして「試合開始」にすると続きを指すことが出来ます。
- 後手の時にNHKの解説のような形式にするときは、「盤面を逆にする」のチェックを外します。これにより、1一が右上になります。
- 通常対局の他、甘口名人戦等にも参加できます。
- 柿木将棋もキー操作で楽しむことができます。ver8からはキー入力で指すこともできるようです。その操作法は棋譜管理ソフト(柿木626)で試すことができます。柿木将棋の棋譜ファイルは東大将棋で取り込めますが、東大将棋の棋譜ファイルを柿木将棋で取り込むことはできません。しかし、棋譜文字のコピー、貼り付けで取り込むことができますから、そうして対局再開をすれば、柿木将棋で続きができます。
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0. はじめに
視覚障害者には将棋を趣味とする方が多いそうです。電話で対局することもあるそうです。「画面読み上げソフトで市販の将棋ソフトを利用できるようにならないか」と相談を受けたので、調べてみました。
まず、視覚障害者が利用できる「励棋」(http://www.specjp.com/)という将棋ソフトが市販されていることがわかりました。このことは、「将棋タウン」(http://www.shogitown.com/)の掲示板で教えていただきました。お礼申し上げます。
私達は、「市販されている一般の将棋ソフトが音声ソフトと組み合わせて利用できるようにならないか」について調べました。その結果は、「ある程度利用できる」というものでした。
要点は以下のとおりです。
- マウスを使った駒の移動操作... Windows版の将棋ソフトは、マウスを使って駒を移動するようになっています。そこで、駒の移動情報はキーボードから入力するようにしました。
- 局面の読み取り... 駒を指定するとその位置が表示されるようにしました。
- プログラムによる将棋ソフトの自動操作... 将棋ソフトを利用者が直接操作するのではなく、利用者と将棋ソフトの間をとりもつWSH(Windows Script Host)のプログラムを用意しました。このプログラムは、
(1)利用者に駒の移動情報(または局面読み取りなどの指示)の入力を促し、
(2)キーボードから入力した駒の移動情報を棋譜ファイルに追加し、
(3)この棋譜ファイルを将棋ソフトに読込ませて、
(4)コンピュータに次の一手を指させる。
ということを繰り返します。
動作の確認は下記の環境で行いました。
| OS | Windows98/Me/2000/XP |
| 音声ソフト | PC-Talker(V5.13)/PC-Talker XP(V1.05) および 95Reader(Ver4.0) |
| 将棋ソフト | 東大将棋2、東大将棋3、東大将棋6、東大将棋6Lite1 |
なお、PC-Talkerでは音声オンオフの機能(Ctrl+Alt+F2)を用いて、自動操作途中の読み上げを停止できますが、95Readerでは同様の機能(Alt+PAUSE)をうまく制御できなかったので、途中の読み上げが多少うるさく聞こえます。
ここでは最も一般的な「通常対局」のみを考慮しました。棋譜ファイルの保存や読み込み、定跡対局や駒落ち対局についても、多少の工夫で可能になると思います。また、他の将棋ソフトでも、CSA形式の棋譜データを保存・読取りできるものであれば、同様の方法で利用できるようになるかもしれません。
1. 準備
1.1 Windowsの設定
Windowsの画面表示を高速にするために、以下の設定をしておきます。メニュー表示などは、目に見えて高速になります。
- Windows98では「画面のプロパティ(デスクトップを右クリックしてプロパティを選択)」の「効果」タブで、「ウィンドウ、メニュー、および一覧をアニメーション化する」と「スクリーンフォントの縁を滑らかにする」のチェックをはずします。
- Windows2000では「画面のプロパティ(デスクトップを右クリックしてプロパティを選択)」の「効果」タブで「メニューとヒントをアニメーション化する」と「スクリーンフォントの縁を滑らかにする」のチェックをはずします。
- WindowsXPでは「画面のプロパティ(デスクトップを右クリックしてプロパティを選択)」の「デザイン」タブの効果ボタンを押し、「次のアニメーション効果をメニューとヒントに使用する」と「次の方法でスクリーンフォントの縁を滑らかにする」と「メニューの下に影を表示する」のチェックをはずします。
1.2 操作用ソフトの準備
まず、操作用ソフトの配布ファイルsyogi.lzhを入手し、「c:\」に解凍します。c:\syogiのフォルダが作られ、その中に、tds2.wsf(東大将棋2用)、tds3.wsf(東大将棋3)、tds6.wsf(東大将棋6)、tds6L1.wsf(東大将棋6Lite1)というプログラムファイルが復元されます。これらのプログラムはWindowsに組み込まれているWSH(Windows Script Host)というソフトによって実行されます。ショートカットを作り、スタートメニューに加えておくと便利でしょう。
なお、異なる場所に解凍した場合でも、c:\syogiフォルダが自動的に作られ、この中に棋譜ファイルと局面ファイルが作られます。
操作用ソフトを削除したい場合は「c:\syogi」フォルダを削除してください。東大将棋本体のインストールやアンインストールとはまったく関係ありませんのでご注意ください。
1.3 WSH(Windows Script Host)のインストール
Windows98〜2000の場合はMicrosoftのダウンロードセンターから
scr56jp.exe(Windows98/Me/NT4.0用)または
scriptjp.exe(Windows2000用)
を入手し、インストールします。
1.4 東大将棋のインストール
東大将棋2、東大将棋3、東大将棋6、または東大将棋6Lite1のソフトをインストールします。
1.5 東大将棋の各種設定
デフォルトの設定ではうまく利用することができませんので、以下のように、予め「東大将棋」の設定をしておきます。
(A) 東大将棋2の設定方法
- 東大将棋2を起動します。すると下のような画面が現れるので、「次回起動時に自動的にこのメニューを表示する」のチェックをはずします。
一旦ソフトを終了し、再びソフトを起動すると次回からは下の画面が起動時の画面となります。適当なウィンドウサイズにしておくといいかもしれません。
- メニューバーから[編集][各種設定]を選びます。「音声」タブで「音声を使用」「読み上げ」「棋譜再生時読み上げ」「駒音」をチェックし、「読み上げ終了を待つ」のチェックをはずします。
- 「その他」タブで「王手を告げる」のチェックをはずし、棋譜再生速度を調整します。取り敢えず最も「遅い」設定にしておき、必要ならば後に変更します。
- 対局の設定をします。メニューバーから[対局][設定対局]を選びます。下の画面が現れるので、「コンピュータ思考」のレベルを指定し、時間は「無制限」を選び、開始局面を「現在の局面」にし、「対局開始」ボタンを押します。対局が始まるので、対局を中断し、終了します。
(B) 東大将棋3の設定方法
- ソフトを起動すると下のような画面が現れるので、「次回起動時に自動的にこのメニューを表示する」のチェックをはずします。
一旦ソフトを終了し、再びソフトを起動すると次回からは下の画面が起動時の画面となります。適当なウィンドウサイズにしておくといいかもしれません。
- メニューバーから、[ファイル][各種設定]を選びます。「音声」タブで「音声を使用」「読み上げ」「棋譜再生時読み上げ」「駒音」をチェックし、「読み上げ終了を待つ」のチェックをはずします。
- 「コンピュータ」タブで「感想機能」のチェックをはずします。
- 「その他」タブで「王手を告げる」のチェックをはずし、棋譜再生速度を調整します。取り敢えず最も「遅い」設定にしておき、必要ならば後に変更します。また、「通常対局後の処理」を「棋譜鑑賞モード」にし、アニメーションのチェックをはずします。
- メニューバーから[対局][通常対局]を選び、簡易設定の画面が表示された場合は「詳細設定」ボタンを押します。下の画面が現れるので、「COMレベル(強さ)」を指定し、時間は「無制限」を選び、開始局面を「現在の局面」にし、「棋譜消去」のチェックをはずし、「対局」ボタンを押します。対局が始まるので、対局を中断し、終了します。
(C) 東大将棋6/東大将棋6Lite1の設定方法
- 東大将棋6を起動すると下のような画面が現れるので、「次回起動時に自動的にこのメニューを表示する」のチェックをはずします。東大将棋6Lite1ではメニュー表示の機能はありません。
一旦ソフトを終了し、再びソフトを起動すると次回からは下の画面が起動時の画面となります。適当なウィンドウサイズにしておくといいかもしれません。
- メニューバーから[ファイル][各種設定]を選びます。「音声」タブで「音声を使用」「読み上げ」「棋譜再生時読み上げ」「駒音」をチェックし、「秒読み」「挨拶」「読み上げ終了を待つ」のチェックをはずします。
- 「コンピュータ」タブで「感想機能」のチェックをはずします。
- 「その他」タブで「王手を告げる」のチェックをはずし、棋譜再生速度を調整します。取り敢えず最も「遅い」設定にしておき、必要ならば後に変更します。また、「通常対局後の処理」を「棋譜鑑賞モード」にし、アニメーションに関する「対局中」「再生中」「棋譜編集中」の3つのチェックをはずします。
- 対局の設定をします。メニューバーから[対局][通常対局]を選び、簡易設定の画面が表示された場合は「詳細設定」ボタンを押します。下の画面が現れるので、「強さ」を指定し、時間は「無制限」を選び、開始局面を「現在の局面」にし、「棋譜の削除」のチェックをはずし、「対局」ボタンを押します。対局が始まるので、対局を中断し、終了します。「現在の局面」の選択と「対局」ボタンの操作は必ず行ってください。
2. 対局操作
(注意1) WSHプログラムが将棋ソフトの起動から終了までを「自動操縦」しています。この方法で将棋ソフトを利用中に将棋ソフトをマウス等で直接操作しないでください。設定等を行う場合は、WSHプログラムを用いずに直接将棋ソフトを起動して行ってください。
(注意2) WSHのプログラムはc:\syogiというフォルダを作り、中にtemp.csa(棋譜データの一時ファイル)とtempk.csa(局面データの一時ファイル)を作成します。棋譜データを残したい場合は、対局終了後にtemp.csaを別の名前に変更または別の場所に移動してください。
2.1 WSHプログラムの起動
インストールした東大将棋ソフトに対応するWSHプログラムファイル tds2.wsf(東大将棋2用)、tds3.wsf(東大将棋3用)、tds6.wsf(東大将棋6用) 、tds6L1.wsf(東大将棋6Lite1)のいずれかを選択し、実行します。プログラムファイルのショートカットをスタートメニューに入れておくと便利です。
WSHプログラムが東大将棋のソフトを自動的に起動します。もしも10秒以内に起動しない場合はエラーで終了します。東大将棋を手動で起動する操作は必要ありませんのでご注意ください。
原因はわかりませんが、下記のようなエラーになる場合があるようです(私のところではWindows2000/XPと東大将棋3でそのエラーが現れましたし、他の方からは東大将棋6で同様の症状が報告されています)。
その場合はプログラムファイル(東大将棋3の場合は「c:\Program Files\最強 東大将棋3 完全版\TDShogi3.exe」)のショートカットをWSHプログラム(tds3.wsf)と同じ場所に作成し、名前を「TDShogi3」にしてください。東大将棋2の場合は「TDShogi2」、東大将棋6の場合は「TDShogi6」、東大将棋6Lite1の場合は「TDShogi6Lite1」にしてください。これでエラーは回避できると思います。
2.2 新規対局と継続対局
WSHプログラムを起動すると、東大将棋のソフトを起動し、前回終了時の棋譜を読み込みます。従って、基本的には前回の対局の継続となります。
新規に対局を始める場合は、指し手の入力時に「N Enter」と入力してください。次のような画面が現れるので、先手か後手を指定します。
2.3 指し手の入力
先手を指定した場合はすぐに、また後手を指定した場合はコンピュータが一手指した後に、次のように指し手の入力を促されます。
指し手の入力を、「2726FU」のように移動元と移動先と駒の記号を半角文字で入力し、Enterを押します。持ち駒は、移動元を「00」とします。また、駒の記号はCSA標準棋譜ファイル形式(http://www.computer-shogi.org/wcsc12/record.html)に準じた次の記号を用います。駒の記号は小文字で入力しても構いません。小文字で入力した場合は自動的に大文字に変換されます。
| (記号) | (駒) |
| FU | 歩 |
| TO | と |
| KY | 香 |
| NY | 成香 |
| KE | 桂 |
| NK | 成桂 |
| GI | 銀 |
| NG | 成銀 |
| KI | 金 |
| KA | 角 |
| UM | 馬 |
| HI | 飛 |
| RY | 龍 |
| OU | 王 |
確認画面が表示されるので、将棋ソフトがコンピュータの指し手を読み上げたことを確認し、Enterを押します。
この操作を繰り返し、対局を進めます。
2.4 終了操作
終了する場合は指し手の入力時に単にEnterを押してください(または「Q Enter」)。確認画面が現われ、更にEnterを押すと将棋ソフトを終了させ、WSHプログラムも終了します。将棋ソフトを手動で終了した場合、WSHプログラムは動作しつづけるため、その後のパソコンの利用に思わぬ「自動操縦」をしてしまうこととなりますから、ご注意ください。
2.5 その他の操作
指し手の入力時に、局面の読み取りや棋譜の再生などいくつかの操作が可能です。以下、その一覧です。小文字で入力しても構いません。
| 操作 | 内容 |
| +FU, +KY, ... | 先手の歩の位置を表示します。他の駒についても同様です。 |
| -FU, -KY, ... | 後手の歩の位置を表示します。他の駒についても同様です。 |
| +00 | 先手の持ち駒を表示します。 |
| -00 | 後手の持ち駒を表示します。 |
| P | 棋譜を先頭から再生します。 |
| C | コンピュータに一手指してもらいます。これを繰り返すとコンピュータ同士の対局となります。 |
| M | 待ったします。(New) |
| T | 投了します。 |
| H | 操作の説明が表示されます。 |
| N | 新規対局を開始します。(New) |
| Q(または単にEnter) | 終了します。 |
3. 将棋ソフトメーカーの方へ
現在の将棋ソフトはマウス操作を前提として作られています。これらのソフトを視覚障害者が利用できないのは、マウスポインタの位置を確認できないことが大きな理由です。しかし、ソフト制作時に、ほんのちょっと工夫することで、視覚障害者にも快適に利用できるようになるのです。それは概ね次のような点です。より具体的なことは、ここに紹介した操作用ソフトを試すことで理解していただけると思います。
- 駒の移動...マウス操作の他、「3334FU」のようにキーボードから指し手を入力できるような入力ボックスを用意する。
- 持ち駒や盤面の確認...指示によりアラート表示する機能を用意すれば、音声で確認することができる。
- メニュー操作のキーボードショートカット...メニュー操作の中には、キーボードショートカットが用意されていないものがあるので、全てのメニュー選択をキーボードから行えるようにする。
koyama@cc.hirosaki-u.ac.jp